皮脂の過剰分泌は、口周りにニキビができる大きな要因の一つ。しかし、ニキビができる根本的な原因は、『未熟な角質が増加し、毛穴に栓がされるため』ということを『口周りにニキビができる本当の原因とは?』のページに記載しました。
よって口周りにできたニキビを治すには、肌表面の角質層が常に水分を保持し柔軟な肌にすることが大切なのですが、皮脂の過剰分泌を抑えることで口周りにニキビができるリスクを減らすことができるので、本ページでは皮脂の過剰分泌についてまとめていきたいと思います。
では、そんな皮脂の過剰分泌は何故、起きえるのか?
下記のツリーは皮脂の過剰分泌が起きる原因をまとめたものです。原因はいくつかあり、人により異なるため自分がどの原因に当てはまるかをまずは確認するようにして下さい。
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┣体質(遺伝)
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┣ホルモンバランスの乱れ
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┃ ┣成長過程
┃ ┃
┃ ┣睡眠不足
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┃ ┣食生活の乱れ
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┃ ┣生理前
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┃ ┗ストレス
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┗肌の乾燥
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┣紫外線
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┣生活習慣
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┗体質(遺伝)
体質による皮脂の過剰分泌
体質(遺伝)によって、元々から皮脂の分泌量が多い方がおられます。これは多くの場合は男性ホルモンの分泌量が多い人で、男性ホルモンは皮脂を分泌する役割があるため、男性ホルモンの量が多い人は皮脂の分泌量も多くなってしまいます。
主な治療方法としては、男性ホルモンの働きを抑える女性ホルモンの投与や、女性ホルモンと同じような成分(イソフラボン、エストロンなど)を持った薬の服用といったホルモン治療になります。
ホルモン治療を行う場合は、必ず専門医に一度は診てもらうようにして下さい。
また、ホルモンバランスの問題だけではなく、肌が乾燥しやすい乾燥肌の体質が原因で皮脂が過剰分泌する場合もあります。肌が乾くと、肌内部の水分を外へ逃がさないように皮脂を多く分泌しようとします。乾燥肌の体質が原因の場合は、ホルモン治療とは別で個人レベルでも対策ができるので、保湿クリームなどでしっかりケアをするようにしましょう。
ホルモンバランスの乱れによる皮脂の過剰分泌
ホルモンには様々な種類があり、その中でも皮脂の分泌を促す男性ホルモンと、それを抑制する女性ホルモンがあります。また、男性ホルモン以外にも皮脂の分泌を促すホルモンとして、成長ホルモンなどがあります。
通常は、これらのホルモンバランスが保たれ皮脂が過剰分泌するようなことはないのですが、何らかの原因でホルモンバランスが乱れ、男性ホルモンや成長ホルモンの量が増えることにより、皮脂が過剰分泌されることがあります。
では、どういった原因でホルモンバランスが乱れるのか?
理由としては、次の5つが考えられます。
体質により、元々から男性ホルモンの量が多いという方は、『体質による皮脂の過剰分泌』の方を参照下さい。
成長過程
18歳頃までの成長期は、身体の成長を助ける成長ホルモンや、男性らしい身体を形成する男性ホルモン、女性らしい身体を形成する女性ホルモンが活発に働きます。そして、この内の成長ホルモンと男性ホルモンがニキビの原因となる皮脂の分泌量を促す働きがあるのです。その為、思春期はニキビができやすい状況下にあるということになります。
思春期の頃に口周りや顔全体にニキビがよくできるというのはこれが原因ですね。
では、思春期にできるニキビは諦めるしかないのか?
決して諦める必要はありません。初めての彼女、彼氏ができるのもこの頃の方が多いと思うので、好きな相手にニキビ顔を見られたくないですよね。
ニキビは皮脂が過剰に分泌されたからといって必ずしもできるわけではないのです。最初にも記載しましたが未熟な角質によって毛穴に栓がされ皮脂が毛穴内部に溜ってしまうためにおきます。正常な角質を保っていればたとえ、皮脂が過剰に分泌されたとしても毛穴内部に溜ることはなく、ニキビにはなりません。
思春期時期は、ホルモン分泌が増える時期なので特に正常な角質が保てるように気を付ける必要があります。正常な角質を保つためには、下記のページを参照してください。
成長ホルモンや男性ホルモンの働きを抑制するようなホルモン治療などもありますが、成長期はこれらのホルモンが身体を形成する上で重要な役割をするため、あまりおすすめすることはできません。
睡眠不足
ホルモンの分泌は主に睡眠中に行われます。ただし、単純に多くの睡眠時間を確保すればいいというものではなく質の良い睡眠をとることがとても重要になります。
テレビなどで、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」という言葉を聞いたことがある人は多いと思いますが、「レム睡眠」は、浅い睡眠状態で「ノンレム睡眠」は深い睡眠状態のときを意味します。皮脂の分泌を抑える女性ホルモンが多く分泌されるのが、このノンレム睡眠状態の時になります。
しかし、睡眠不足や寝つきの悪い方でなかなかノンレム睡眠状態になり難い人は、女性ホルモンの分泌量が減り、ホルモンバランスが崩れ皮脂の分泌量が増え結果、口周りなどにニキビができやすくなります。
では、どうすれば深い眠りのノンレム睡眠状態になれるのか?
これは日中の適度な運動など生活習慣が大きくかかわってくるため、正しい生活習慣を行うのが大前提になります。また、最も深い眠りにつきやすい時間帯が夜の22時から2時の間だと言われています。これは、古くなった角質などを入れ替えるターンオーバーが最も働くゴールデンタイムとも一致します。
この夜22時から2時の4時間がお肌にいかに大切か分かってもらえると思います。できる限り22時頃には就寝につけるようにしましょう。
食生活の乱れ
食生活でホルモンバランスを整えるには次の3点が重要になります。
(1)正しい食生活
皮脂の分泌を抑える女性ホルモンは、ビタミンB6やビタミンEが効果的と言われており、そればかり気にする人がいますが、それ以前に下記のような点にまずは気を付けるようにしてください。
- 1日3食、食べるようにする
- 不規則な時間に食べないようにする
- 栄養バランスの偏りがないようにする
- 暴飲暴食をしない
- 過度な食事制限ダイエットなどは行わない
- 菓子類、油分、糖質が多いような食べ物ばかり食べない
(2)必要なビタミンの摂取
ビタミンB6と、ビタミンEには女性ホルモンの分泌を促し、ホルモンバランスを整える働きがあると言われています。よって、これらのビタミンが多く含まれた食事を積極的に取り入れるようにしましょう。
ビタミンB6を多く含む食品
にんにく、まぐろ、レバー、まぐろ、かつお、いわし、鶏肉など
ビタミンEを多く含む食品
アーモンドなどのナッツ類、うなぎ、たらこ、アボカド、かぼちゃなど
(3)大豆イソフラボンの摂取
女性ホルモンは、「エストロゲン」と呼ばれるホルモンなのですが、それと似た働きをしてくれる「イソフラボン」というものがあります。食物から摂取できる女性ホルモンと思って頂いても結構です。これらをしっかり摂取するように心がけましょう。
このイソフラボンは、大豆系の食物から多く摂取することができます。
イソフラボンを多く含む食品
納豆、豆乳、豆腐、油揚げ、きな粉など
生理前
女性ホルモンには、卵胞ホルモンと言われている「エストロゲン」と黄体ホルモンと言われている「プロゲステロン」の2種類があります。これらのホルモンは、生理周期とともに分泌量が変化し、短期間で急激な変化が起こるため体調不良が起きやすくなります。
そして、これらの指示を出しているのが脳の視床下部です。また、この脳の視床下部は、自律神経をコントロールする場所でもあり、ストレスや睡眠不足、食生活の乱れなどで影響を受けやすい場所でもあります。
よって、ただでさえホルモンの分泌量が変わりやすい時期に加え、ストレスや睡眠不足、食生活の乱れなどの影響を受けると簡単にホルモンバランスが崩れてしまいます。生理前後では、ホルモンバランスが崩れやすいということを認識した上で、日常的なストレスや睡眠不足、食生活の乱れが重ならないように気を付けるようにしましょう。
ストレス
ホルモンの分泌を支持しているのは脳であり、ストレスなどで脳が影響を受けてしまうと当然、正常な指令が出せなくなりホルモンバランスに乱れが発生してしまいます。
よって、過度なストレスは受けないようにすることも大切ですが、ストレスを受けた際の発散方法は自分で1つや2つは常に持っておくことが大切です。
肌の乾燥による皮脂の過剰分泌
肌が乾燥しているということは、皮脂は分泌されていないのでは?
と、考えてしまいがちですがそんなことはありません。肌が乾燥すると肌内部の水分の蒸発を防ごうと皮脂を過剰に分泌させようとする働きが起きます。しかし、乾燥した角質はすぐにボロボロになり剥がれてしまい、毛穴に栓をする原因となってしまいます。結果、ボロボロで古くなった角質や未熟な角質、過剰に分泌された皮脂で角栓ができ、口周りなどにニキビができる原因となるのです。
よって、ニキビの改善、予防のために肌が乾燥しないようにケアをしっかりする必要があります。
では、なぜ、肌が乾燥するのか? 乾燥肌の原因も知っておく必要があります。乾燥肌になる原因としては次のようなものがあります。
紫外線による乾燥肌
紫外線は、シミやしわができる原因だけではなく乾燥肌あの原因にもあります。
肌が紫外線に当たると、肌の一番外側にある角質層がダメージを受け保湿機能を失います。肌は、ダメージを受けた角質を入れ替えようとしますが、連続して紫外線に当たり続けると入れ替えが追い付かなくなり、保湿機能が十分に整っていない未熟な角質で構成された肌となってしまいます。
紫外線に強く当たるような場所では必ず、紫外線対策を行くようにしましょう。
生活習慣
誤った洗顔方法や、睡眠不足、乾燥したお部屋など日常の生活習慣でも乾燥肌の原因となります。
まず、誤った洗顔方法ですがよく言われているのが、「こすり過ぎ」です。綺麗に汚れを洗い落とそうとするがあまり、ゴシゴシと強くこすりがちになるのですが、その結果、角質層を痛めてしまい保湿機能を失う原因となります。
睡眠不足に関しては、古い角質と新しい角質を入れ替えるターンオーバーが睡眠時間中に主に働くため、睡眠不足になるとターンオーバー自体正常に働かなくなり、保湿機能を失った古い角質ばかりが残ってしまいます。
また、エアコンなどをつけて乾燥した部屋に長時間いる場合も肌が乾燥しやすくなるので注意が必要です。長時間、乾燥した部屋にいる場合は加湿器や肌の保湿などにも気を配るようにしましょう。
体質による乾燥肌
これは元々も自分自身が持っている体質で肌が乾燥しやすい人などがいます。ただ、肌が乾燥しやすいからと言って諦めるのではなく、保湿クリームなどで肌をしっかり保湿するようにしましょう。